2013.06.18 Tuesday

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    2010.02.12 Friday 22:55

    乱鴉の島


    有栖川有栖
    ********************
    内容(「BOOK」データベースより)
    友人の作家・有栖川有栖と休養に出かけた臨床犯罪学者の火村英生は、手違いから目的地とは違う島に連れて来られてしまう。通称・烏島と呼ばれるそこは、その名の通り、数多の烏が乱舞する絶海の孤島だった。俗世との接触を絶って隠遁する作家。謎のIT長者をはじめ、次々と集まり来る人々。奇怪な殺人事件。精緻なロジックの導き出す、エレガントかつアクロバティックな結末。ミステリの醍醐味と喜びを詰め込んだ、最新長編。
    ********************

    4年ぶりの火村シリーズだそうですね。前から持ってはいたんですが、ハードカバー読むの苦手なので放置でした。
    もったいないなあ。
    で、アマゾン見たらすごいこと書いてありますよ。
    『精緻なロジックの導き出す、エレガントかつアクロバティックな結末。』
    なんだエレガントかつアクロバティックな、って。そんなんじゃなかったぞ。
    ま、順に感想いきましょか。
    子供アリスがT字路で迷う話、まあ当たり前といえば当たり前なんですけど、改めて言われるとはっとしますね。狐に化かされたみたいな気にはなるね。
    第一章、いきなり助教授登場です。でももう準教授なんだよね。なんかきもちわるい。火村先生には一生助教授でいてもらいたい。どうせ講義休んで警察とつるんでばっかいるんだから、教授になんかなれないわけだし。笑
    で、かなりお疲れな火村先生が、下宿のばあちゃんのすすめで知り合いの民宿に行くことにします。
    しかし何をするのも億劫そうで、物憂げでアンニュイな先生、私なら一生眺めていたいけどなあ。
    なんかちょっと嫌がるんだけど、ばあちゃんが「独りではつまらんかったら、有栖川さんでも誘うて」とか言った後は打って変わって不思議と行く気になってます。ああもう、ウリになりたい!
    そして島に着いてみたものの、なんか無人島みたいに変な場所です。
    なのに。
    「みんな村祭で出払っているのかな」
    「島の反対側で、秘密の儀式の最中なのかもな」
    やっぱりこいつら、妙なこと言い合ってます。そういうとこが好きすぎるんだ。
    それからひとに出会い…
    「訪ねる家を間違える人はいるけれど、島を間違えるというのは豪快すぎる。――――本当ですか?」
    そう、どうやら島が間違っていたらしい。んで、財津さんにこんなこと言われてしまいます。そりゃあ、豪快すぎるよ。
    そして、そこの家の人に電話借りてかけたときの火村。この男の慇懃無礼は何か企んでそうな雰囲気ありますよね。別にそういう裏読みをいちいちしてるんじゃないけど、そういう雰囲気がある。っていうだけ。というか、なんか冷たそうな印象になるんだよね。なんかもうとにかくアリスとしゃべってるとき以外。
    あ、で電話借りたとき。
    「とりあえず黒根島まで迎えの船を回してくれるよう頼んだら、『やってみます』だ。『やってみます』」
    ミ○リ電化ですかね。
    ちょっと怒ってますかねえ。火村先生。
    アリス相手だから感情が顕わになるのかなあなんて勝手な想像。
    『「これは傑作だな」火村が失笑する。「お前、児童向けの本を出していながら、小学生から『この人、知ってる』と言われて狼狽するなよ。これだからマイナー作家は困る」』
    火村先生すぐアリスの『小説家』『推理小説家』な部分をばかにするよねえ。
    そして、もう少しだけ進んだところで、この屋敷にいる人間をアリスが頭の中でカウントします。お、そろそろ何か起こる合図だな、と花住の孤島ものの定石的に考えてみたら、まだ人数増えた。
    推理小説ってある意味下地がしっかりしてないと面白くないのに、ここじゃ序盤すぎてまだ起こりませんよって考えたらわかるだろうに。
    ちょっとせっかちすぎました。
    「おじさんも何か小説を書いているんですか?」
    拓海にそう言われた火村。おじさん…。うん、いいと思う。
    でも先生の対応は丁寧ですよ。いい大人。
    しかも、
    「おじさんは大学の先生なんだ」
    と、ふつうにおじさんって言った!
    そして結局島で唯一人が住んでいる家の屋根裏に泊めてもらうことになるんですね。でも六畳ですよ!しかも隅にダンボール箱がいくつか積んであるとか。
    30越えた男がふたりで泊まるのにそれはせますぎないか!せますぎるよ!!
    でもアリスは気にならない狭さだって言ってた。…やっぱり火村だからかね。捗るね。
    『「火村先生は、やらないですか?」
    誘われてやがる。』
    なんだやがるって。かわいいな。
    『「お連れの方もミステリをお書きで?」
    「いいえ。私は畑違いです」
    火村は、そっけなく言った。それを訊いた初芝は、下唇を人差し指で弾く。
    「いいなぁ。渋くて味のあるバリトンだ。声優、やれますよ。そういう声の人、なかなかいないんだ」』
    ヘリで降り立ち、いきなり親しげに近寄ってきた初芝を、アリスは結構親しげに受け入れるけど、火村はそっけないです。
    一度でいいから火村先生のバリトン、聞きたいなあ。ガリレオでドラマ化できるなら、有栖川有栖なら余裕でできるしウケると思うんだけどなあ。してくれないかな。
    でも火村先生の声優は、……ないと思うよ。
    「(略)いつでもウェルカムですから、遊びにいらしてください。テレビもなくて、夜が長いですからね。――――有栖川さん、よろしく」
    いくら仲良くなれなそうでも、火村だって社交辞令で誘ってやれよと思わないでもない。
    露骨すぎるでしょ。そっち系のひとだと思われますよ。
    初芝にもモテて、子供たちにもモテるアリス。
    その後、初芝は一瞬アリスを諦めます。
    「犯罪学者の先生は、さすがに僕のビジネスと結びつかないな。パートナーになれそうなのは、有栖川さんだ」
    だとさ。本心かい。
    『初芝は左手をゆっくりと上げ、私の肩に置いた。触れられたところが、ぽっと熱くなる』
    …うおおいアリス!
    ま、ま、まあちょっと落ち着こうかと思っているとこへクローンて言葉が出てきます。SFか?って思っちゃうよね。
    いちおクローンについては、私の専門分野でもあるのでストーリーに関係なさそうな部分までちゃんと知ってるんだけど、知ってるからこそSFかよって思うし非現実的だなあって思う。
    技術的にはできるのかもしれないけど、私としては倫理的に、というか…。
    そして次の朝、アリスが起きると先生はもういなくなっています。なんと、朝っぱらから拓海くんにつかまってキャッチボールをしています。
    「火村先生、変化球、投げられる?」
    「俺は曲がったことが嫌いだ」
    そんなことを訊いてはいません。
    あとで、この様子を妥恵が「ちょっと気怠そうにボールを投げておられましたけど、それがセクシーでしたよ」とか言ってました。私も見たかった。
    で、みんな初芝の登場を怒ってますが、特に藤井先生が露骨です。でも怒り方が子供っぽくて、ちょっとかわいいです。
    ヒトラーのクローンとか、「放課後のカリスマ」かよ!みんな偉人のクローンが気になるなら、読んだらいいと思うよ。
    あ、はやく3巻買おっと。
    火村の人差し指で唇を触るくせも、セクシーですよねえ。見たいよ、ほんとに。
    あ、有栖川さんO型です。私と一緒。
    そうこうしているうちに、電話が繋がらなくなります。おおっ、孤島っぽくなってきた。
    なんかこのふたり、ほんとにいつでも一緒だなあ。仲良し。というか、探偵と助手はいつでも一緒じゃなきゃね。
    そしてやっとこさ事件発生です。
    初芝が泊まっていたおうちで、木崎さんが遺体となって発見されます。
    それまでのらりくらりとしていたぼんくら火村が、ここへきてやっとぱりっとのりの効いた感じになります。
    「(略)――――そっちもないか、アリス?」
    今作始めて火村がアリスをアリスって呼んだ気がします。違うかな?
    みんなで木崎氏死亡の原因を探りあい、猜疑心に満ちていくなか、どうしてこのひとらは真っ先に赤の他人の火村とアリスを疑わないのでしょう?
    姿が見えない初芝を犯人と信じて疑わなかったからでしょうかね。
    『「もうすぐだ。覚悟はできているんだろうな?」
    火村に意味不明のことを訊かれた。朝の散歩とバードウォッチングをするだけなのに、どんな覚悟がいるというのか。』
    言ってみようとアリスが言わなくても、火村先生は行く気で、その先に何があるのかまでわかっていたんですね。ここぞというときだけほんと無駄にかっこいいよ。
    で、崖の下に、死体があると火村は言う。その死体を見に行くために、崖下へ石段をつたって降りていきます。
    俺から行こう、と言ったアリスの内心を火村はあっさり見抜きます。
    「落ちるなら自分一人で、という気高い心掛けか。ありがたいな」
    「ああ、そうや。けれど、上からお前が落ちてきたら必ず身をかわしてやる」
    …それって、自分にもしものことがあっても、火村を巻き込まないようにっていう思いやりですか?
    うんむむむ。
    そして下の洞窟へ辿り着く。
    そこには火村の予想通り、死体があります。しかも、烏につつかれた初芝社長。
    そこでアリスには、『彼の後ろ姿が、何かに憤っているように見えた』とか。
    どうしたのかな。
    死体の検分をしているときの、『臨床犯罪学者は手袋を脱ぎ、立てた小指で唇をそっと撫でた』という仕草が!見たい!是非見たい!
    「失礼ですが、私に言わせれば怪しいのは有栖川さんと火村先生です。(略)」
    やっときたか。ふつう、初めに思うよ。本のこんな5/7あたりまで読み進めてやっとその台詞が出てくるとも思ってなかったよ。
    まあストーリーの展開上、ある程度大詰めまできたところでみんなに疑わせて行動しにくくさせたかったのかな。ちょっともどかしくなっちゃぜ、的な。なんて素人考え。
    『「さて」火村は髪を手で梳いて「大人の時間になりましたから、刺激的な話を始めましょうか」』
    なにおもしろいこと言ってんだろう。
    そこから火村もアリスも敵ばっかりつくっちゃってちょっとやりにくいですね。
    次第に風当たりが強くなってきて、なんかこのまんま殺されるんではないかなんて思います。確かに。
    でもそんな危険を感じる孤島ものってあんまり見たことないなあ。
    まあ、孤島ものって知らないひとがなんにんか集まって起こるよね、大概。それがベタだと思う。
    『財津はさらに袖をまくる。殴り合いを始める準備をしているわけでもあるまいし、興奮してくると腕まくりをしたくなる性癖の持ち主なのだろう』
    あ、わかるわかる。私もすぐまくります。
    「有栖川も知っていたのか。もっと早くに聞きたかったよ、俺は」
    「日常会話やないか。大した意味はないやろう」
    ありすがわ…。だと…。
    犯人探しの会議中、ほかのひともいるからかで、火村はアリスをちゃんと呼びます。
    それからの海老原の返答に苛立ってアリスを少し心配させたり、なんかちょっと今回の火村先生、感情の振れ幅が大きいです。こんなひとだったかな。
    もう暫くしてから、なぜか火村とアリスがキャッチボールなんか始めます。『白球に三十四歳の青春を懸けてる場合やないやろう』。うん、そうですよ。
    そして、解答編が始まります。
    推理があっていたらそのまま真実を葬るために殺されるんではないかとビビるアリスがちょっとかわいいですね。
    「(略)私は有栖川有栖の小説に登場する名探偵のごとく、これまで多くの事件の捜査に関わり、その解明に貢献してきた。名探偵なのでしょう」
    アリスもそう言ってるけど、火村が自分を名探偵と言うなんて、どういう心境の変化なのかな。ちょっと不安になっちゃうよね。
    ま、ここまできてクローンが関係ない、なんてことないですよね。個人的にはまったく関係なくてもいいんですけど。やっぱりクローンなんてSFみたいなくだらないことなくて、真実はこうなんです。事実は小説より奇なりってね。
    ってそんなオチでよかったんだけどなあ。
    推理ショーの途中。
    『やがて顔を上げた助教授は、テーブルを挟んだ財津に右手を差し伸べる。
    「あなたと握手がしたい。今の言葉に絶大な共感を覚えます。(略)」』
    たまにオーバーアクションだとは思ってたけど、こうも演技がかったおおげさなことするひとだったかな。
    ドクター、泣き上戸。まさかの泣き上戸。これもひとつのオチです泣き上戸。
    アリスと火村の絡み、すごくおもしろいです。ミステリ大好きです。
    でも、クローンは…あんまり好きじゃないです。
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    2009.07.04 Saturday 01:58

    モロッコ水晶の謎


    有栖川有栖
    ********************
    内容紹介
    作家の目前で毒殺事件!超絶推理で謎に挑む推理作家・有栖川の前で男が昏倒した。誰かが毒を盛ったのか……臨床犯罪学者・火村の推理が犯人に迫る。人気の国名シリーズ第8弾。これぞ有栖川本格の真骨頂!
    ********************

    久々の有栖川と火村の楽しいコンビ。
    『助教授の身代金』『ABCキラー』『推理合戦』『モロッコ水晶の謎』の4編。

    『助教授の身代金』
    助教授っていうから火村先生かと思ったじゃないですか。まあ、わざとなんでしょうけれど。
    身代金の受け渡しって、ドラマでも小説でも何でも上手くいかないようになってますよね。
    既に死んでる、金が目的じゃないっていうのがよくある展開な気が。
    まあそこは、小説だからでしょう。現実は知りませんが。
    「どこかで声と顔を誤って認知したわけだ。どこでズレたか、私には見当がつく。それは例えば、有栖川さんは助手なのか、という宇田川さんの問いに私が『そんなところです』と答えたこと。あるいは、凶器がどこで発見されたのか『有栖川さん、お判りになりますか?』という警部の問いかけの後、私が『多分、こうだ』と応えたこと。またあるいは、私が有栖川に向かって、『さすがは犯罪を飯の種にしている先生』と話しかけたことです。彼はただ作家と紹介されていたから、『犯罪を飯の種にしている推理作家』というふうには結びつかなかったわけだ。この3つだけで誤解が生じる素地が整う。おまけに、あの時の有栖川はなかなか積極的に発言していたので、彼が犯罪学者に思えたのかもしれませんね」
    城戸が呆れて「先生は、そんな些細な会話まで記憶しているんですか。よく頭が破裂しないものですね」
    と言ったら火村先生、
    「1時間前に自分が話したことぐらいははっきり覚えている。あんた、他人がしゃべることばかりに興味を持つから、自分が何をしゃべったか忘れてしまうんだ」

    って。
    普通一時間前にしゃべったことをそんなに克明には覚えてませんよ。よっぽど印象的でなければ。
    しかも火村先生が諳んじているのは一時間前どころじゃありません。アリスに関して、先生はたまに人間離れした力を発揮するときがあるような気がする。
    たまに…いや、よく思うけど、ほんとに火村先生ってトンデモ人間だな…。って。

    『ABCキラー』
    推理小説でシリーズやってたら一度は行き着きそうな気がするABC殺人事件。
    そして、『絶叫城殺人事件』以来?…あんまりはっきり言えないけど、リアルタイムの連続殺人事件に火村先生が絡んでます。
    アガサ・クリスティの『ABC殺人事件』の模倣っぽい事件。と、作中でアリス嬢が言ってます。
    火村先生もばっさばっさ切り倒していってる通り、日本でABC殺人事件はあんまり現実的じゃないかなあ、と。LとかVとかXとかには確かに苦労するだろうな。
    だからってもし日本向けにあいうえおにしても…50音は多すぎる。『ん』はないしね。そうしたら『あいう殺人事件』?笑える。『いろは殺人事件』ならまだ様になる?ならないか。
    脱線しました。
    とにかくABC殺人事件は非合理的だねってこと。ですかね。
    そしてそう、何が書きたいんだかだんだんよくわからなくなってきましたが、バトンタッチ殺人事件ですね。

    『推理合戦』
    アリスの先輩朝井小夜子女史と、我らが火村英生助教授と、遅筆推理小説家有栖川有栖。
    の、焼き鳥ディナー。
    まだちょっとの会話しかしてないのに、火村と小夜子が、それまでの会話についてまだ出てきてなかった、本当なら火村も小夜子もお互い知らなかった筈の情報を話し始める。
    首を傾げるアリス。
    おいてけぼりですね。
    なのでわざわざ直接S***まで出向いちゃうアリス。結構フットワーク軽い。
    そして火村の歩いた道のりをたどってみます。
    なんだか謎はどんどん解け…そしてまだ完結してない連載中の朝井の小説の犯人まで言い当てる。
    ちょっと閑話っぽくておもしろいですこういうの。

    『モロッコ水晶の謎』
    とある社長邸のパーティーで殺人事件が発生。
    グラスに毒が仕込まれてたらしいが…グラスはゲストがそれぞれランダムに選んだもので、誰の作為も見えない。
    っていう感じの話。
    明海ちゃんみたいのちょっと好きだな。
    そんな記述があったかどうかもう覚えてないし私の勝手な思い込みかもしれないけど、おかっぱで目が鋭くて殆ど表情に変化がなく隙がない感じ。
    弘俊は、この話にはほとんど関係のない人間だと思っていました。小説家志望でアリスの周りをちょろちょろするだけの可愛い少年だとか、阿江さん以外にジュース選ぶ人間の頭数的存在、とか適当に思ってた。割と、最後まで。
    少なくとも火村とアリスが、
    「マジか?」
    「マジ」
    とか言ってるときにはまだ何も気付いてなかった。
    はたしてトリックは…。
    ここまできて今更だけど読んでないひとは読んでほしい。
    えっ。。。
    みたいな。
    まあある意味、予想だにしない展開、です。

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    2008.05.27 Tuesday 20:49

    月光ゲーム


    有栖川有栖
    ********************
    内容(「BOOK」データベースより)
    夏合宿のために矢吹山のキャンプ場へやってきた英都大学推理小説研究会の面々―江神部長や有栖川有栖らの一行を、予想だにしない事態が待ち構えていた。矢吹山が噴火し、偶然一緒になった三グループの学生たちは、一瞬にして陸の孤島と化したキャンプ場に閉じ込められてしまったのだ。その極限状況の中、まるで月の魔力に誘われでもしたように出没する殺人鬼。その魔の手にかかり、ひとり、またひとりとキャンプ仲間が殺されていく…。いったい犯人は誰なのか。そして、現場に遺されたyの意味するものは何。
    ********************

    初めて読む学生アリスシリーズ。
    なんか初々しい!僕とか言ってる!
    学生アリス読んでから作家アリス読むと、なんだかアリスがぐれたみたいな感じするんじゃないかな。
    自分のこと俺とか言っちゃってるし、江神さんみたいな温和そうな人間じゃなくて火村とかいうやくざな雰囲気の男とつるんでるし、煙草吸うし。
    でもまやっぱり読んでみて改めてわかったですが、私は作家アリスが好きかな。
    やっぱり火村が好きですし。火村とつるんでるアリスも好きだし。

    で、内容について語ろうと思うわけですが。
    まず。ひと多すぎて最後まで覚えられなかった!
    理代はそら覚えたけどね。
    織田、望月はどっちがどっちとか区別はつかないけどまあ推理研の人間ってことだけ。
    プロローグ。
    『それにしても理代、君は人殺しなのか?』
    これって、読者にちょっと興味とインパクトを与えただけの台詞かな、とか。
    読み進めたらわかるけど、これってそんなに大事な前提でもなんでもない。
    私はあんまり理代疑ってなかったし。
    そして、ひとが多すぎて覚えきらなかったせいか、あんまりストーリーにものめり込めませんでした。
    特別好きな登場人物もいなかったし。
    江神も…なんかすべてを悟った仙人みたいですね。期待してたほど好きになれなかったな。
    アリスも作家アリスとは別人。そんなに好きでない。
    でも、推理してみろって挑戦叩き付けられて、珍しく乗ってみたら当たったのだけは嬉しかったな。
    まあ、あの状況でいきなり推理ショー始めるってなったらあのひとしかいないかなって。
    この作品がデビュー作だそうですね。
    有栖川有栖はやっぱ好きだし、続きも読んでみよ。
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    2008.02.11 Monday 21:09

    絶叫城殺人事件


    有栖川有栖
    ********************
    内容(「BOOK」データベースより)
    「NIGHT PROWLER(夜、うろつく者)」と記された小さな紙片を、口の中に押し込まれ、次々と殺害される若い女。残酷な無差別殺人事件の陰には、カルトなホラー・ゲームに登場するヴァーチャルな怪物が―。暗鬱の「絶叫城」に展開する表題作ほか、「黒鳥亭」「壷中庵」「月宮殿」「雪華楼」「紅雨荘」と、底知れぬ恐怖を孕んで闇に聳える六つの迷宮の謎に、火村とアリスのコンビが挑む。
    ********************

    『〜殺人事件』というタイトルの作品ばっかりの短編集。
    初めはソフトに最後はハードにって感じの作品群でした。

    『黒鳥亭殺人事件』
    女は嫌いだが子供のあしらいが上手い火村先生の本領発揮ですよ。
    あしらいではなく扱いが上手いアリスも見られます。
    啼かない九官鳥のキュウちゃんについてのとことか。
    「それで人の真似ができなかったの?」
    「そう。どうして真似をしないんだろう、と考えるのと一緒に、啼けないのかもしれない、と考えなくっちゃね」
    考えなくっちゃね★
    じゃないってイムラさん。
    本を読んで、とお父さんに駄々をこねる真樹ちゃんに、火村先生。
    「おじさんが読んでくれるよ。ご本を書いてる人だから、読むのも上手だよ」
    とか言ってアリスの背中をどんと押します。いやいや何やってんのかな。
    『「・・・・・・事故や」
    私は言葉を絞り出した。火村はどなりつけるように、
    「事故でもない。これは想像だ。あったとも、なかったとも知れない」
    「あの子に訊いて・・・・・・確かめるのか?」
    火村はまだ火を点けていなかった煙草を折り、私に投げつけた。
    「馬鹿野郎。そんなことを訊くもんか!」』
    子供には、神経質なぐらい優しいのね・・・。
    でも、実を言うと、この話の本筋を、私はよく掴めていなかったのですが・・・。
    とりあえずタイトルが、黒猫亭からもってきてるってことだけはわかる。

    『壺中庵殺人事件』
    それでは事件当日の行動を再現してもらいましょうか、とか言い出した辺りで、何故か花住にミステリの神様が光臨したらしく、壺は何かのおもりではないか?という考えが浮かびました。
    普段は何にも気付かないのに、ここだけ・・・。
    一番アクションの多い宗也さんが犯人かな、っていうのは自明でしたね。
    何だか悪夢みたいな事件でしたね。

    『月宮殿殺人事件』
    何楽しいドライブなんかしてるんだろうとか思ったけど普通にフィールドワークの帰りでした。
    ここらへんにおもしろいものがあるハズだ、とか言って走るベンツから外を眺めるアリスに火村が。
    「面白いといっても、色々ある。どんなもののことを言ってるんだ?お前のことだから、どうせ文法がユニークに乱れた標語の看板とか、異常に野暮ったい名前の店とかだろう」
    お前のことだからどうせって。
    しっかしアリスはホームレスとも簡単に仲良くなっちゃうんですね。おもしろいわ本当に。
    そしてそこを通りかかってから数日後、怪文書みたいなファックスが。
    土蜘蛛
    星恋
    狼煙台
    九尾の狐
    魔法の卵
    世界ノ地図



    そして気付く。火村の筆跡だと。
    ・・・いや、普通気付くのか?私だったら気付かんな。
    「月宮殿っていうのは、赤いきれいな花をつける、春咲きのサボテンなんだそうだ。――仕事中だったかもしれないのに、邪魔したな」
    ・・・ううん。なんか彼女に電話したみたいだ。

    『雪華楼殺人事件』
    アリスの妄想炸裂の、切ない切ない話です。
    としか、言いようがないよ。

    『紅雨荘殺人事件』
    アリスは涙脆い説。かわいい。
    誰が犯人だ・・・とか思ってたら、こんなにいたの、って感じで。
    それにしても火村のベンツが「昨日、帰ってから動かなくなった」とかゆうのは本気でウケた。
    とりあえず牟礼真広は嫌いだ。

    『絶叫城殺人事件』
    こんな現在進行形の通り魔的犯行の殺人は火村向けなのか?
    と、若干疑問に。
    でも、なんか雰囲気が暗い。
    絶対この事件の間に火村は悪夢にうなされていそうだ。
    しかしゲームしてる火村って、ハタから見てて奇妙だろうなあ。
    「やっと連絡がついたな。取材に行ってたのか?・・・・・・ああ、そうなのか。・・・・・・ああ、昨日から捜査に加わっている。それまでにも声は掛かっていたんだけど、こっちが身動きが取れなかったのさ。・・・・・・残念だな。それぐらいは気づいている。詳しい話が聞きたいか?・・・・・・仕事は片づき次第、帰ってくるんだな?じゃあ、またこっちから連絡する」
    ・・・彼女ですか?火村先生。
    というか、何故、『ファースト・ラブ』?
    話の雰囲気と不釣合いすぎて、滑稽・・・ですね。
    学生がどうのと言っていましたが、そうじゃなくて、この作品を執筆しているほうの有栖川先生に、「何故ファースト・ラブなんですか?」って聞きたいです。
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    2008.02.08 Friday 13:48

    暗い宿


    有栖川有栖
    ********************
    内容(「BOOK」データベースより)
    犯人当てゲーム“トロピカル・ミステリー・ナイト”に参加するため、南の島のリゾートホテルを訪れた臨床犯罪学者・火村英生と推理作家・有栖川有栖。ハイビスカスに彩られたロビー。人魚姫のようにさざめく女たち。抜けるように青い空と青い海。バカンス気分で、のんびり過ごしていた二人だったが、訳ありげな夫婦に出会って…(「ホテル・ラフレシア」)。廃業した民宿、冬の温泉旅館、都心の瀟洒な名門ホテル―。様々な“宿”で起こる難事件に火村&有栖川コンビが挑む。傑作ミステリ作品集。
    ********************

    『様々な<宿>で起こる難事件に火村&有栖川が挑む。傑作ミステリ作品集!』
    というわけで宿です。短編集です。久々に読む有栖川有栖短編。

    『暗い宿』
    ふと思い立って旅に出たアリスが、急に体調を崩して明日取り壊す予定の元旅館に泊めてもらったことがことの発端です。本当に器用に事件に巻き込まれるひとですね。
    犯人のひとの態度のはっきりしなさといったらないですね。
    なんかこの話はそんなに好きじゃない。
    嫌いとは言わないけど。
    まあ、いつも通り火村とアリスは仲良いよね、ぐらい。

    『ホテル・ラフレシア』
    この話かなり好きだ。
    この幻想的な雰囲気も好き。
    犯人当てゲーム<トロピカル・ミステリー・ナイト>に招待されて石垣島のホテルに宿泊することになった片桐&アリス+火村。
    片桐はこの旅行で火村に本を書いてもらうことを打診しようとしていやにご機嫌とってます。
    火村は火村で石垣島に来てまで論文書いてるけど。来た途端寝てるし。そのせいか昼夜逆転させてるし。
    そして今回はアリスが推理作家としての面目を保っています。
    しかし三十男三人の旅は寒すぎる。気がするのだけれど。
    火村は不精な男に箔がかかってるけど…いい男だからよし。
    「え、マジ?判っているんだ。教えてください」
    おいおい片桐さん「え、マジ?」はやめてくれ。
    オチは確かに後味よくないけど、こういうのはなんとなく好きだ。

    <ここは天国なのか、地獄なのか>

    <落ち着いて>
    <ここに留まる運命なのです。
    チェックアウトはできますが、去ることはかないません>

    『異形の客』
    カラオケにて。
    「学生にこういうところへ誘われたことはあるのか?」
    「いいや。いつも独りで歌いに行く」
    そしてそんなところを想像して愕然としてるアリスに「本気にするなよ」と火村。
    独りでカラオケな火村なんていやすぎるよ・・・!!
    それはともかくこの話の感想は少々複雑(?)で。
    初めはよかった。なんとなくよかったんです。
    途中でなんとなく飽きる。何故か事件発生したあたりから、大黒様の反対側に大きい鏡があるのを見つけるあたりまで。
    後半おもしろいです。火村がすごくかっこいいんです。
    「自首するんじゃないよ」
    はっとするような台詞を言いますね。ぞくぞくします。
    「シロなら君はもちろん自首しない。だが、クロだったとしても、自首なんてしなくていい。一人を発作的に刺して死に至らしめ、もう一人を計画的に殺害しながら平然ととぼけられる人間に自首は必要ない。逮捕状を携えた刑事の訪問を受け、手錠を掛けられて引き立てられるのがお似合いなんだ。いずれにせよ、君は自首してはならない」
    火村の心の深遠を垣間見た気がしました。
    犯罪者を“狩る”人間でありながら、“獣”のような獰猛さを秘めているような。

    『201号室の災厄』
    この話は漫画化もしてますね。
    確かに面白い。火村のアクションシーンも満載ですからね。
    今回アリスは最初の一瞬しか出てきてません。
    しかし東京に別々の用事で出てきてるのに結局一緒に飲んでるあたりがやっぱり仲良いのよね。火村先生はアリスと犯罪だけが友達だもんね。笑
    せっかくの高いホテルなのに火村先生は可哀想な目に遭います。
    酔ったのも手伝ってか自分の階と違った階で降りてしまい、そのせいで事件に巻き込まれて部屋に監禁され、そして殺人事件の真相を解く羽目に。
    しっかし部屋から出るためとはいえよくあんな嘘の推理が出来たものだな、と。
    ろくに登場もしない人物がいきなり犯人になるのも変な感じだな、とは思っていたけどさ。


    そんなこんなで今回も面白い御本でございました。
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    2008.02.06 Wednesday 20:35

    海のある奈良に死す


    有栖川有栖
    ********************
    内容(「BOOK」データベースより)
    半年がかりで書き上げた長編が、やっと見本になった!推理作家・有栖川有栖は、この一瞬を味わう為にわざわざ大阪から東京へやってきたのだ。珀友社の会議室で見本を手に喜びに浸っていると、同業者の赤星学が大きなバックを肩に現れた。久しぶりの再会で雑談に花を咲かせた後、赤星は会議室を後にした。「行ってくる。『海のある奈良』へ」と言い残して…。翌日、福井の古都・小浜で赤星が死体で発見された。赤星と最後に話した関係者として、有栖は友人・火村英生と共に調査を開始するが―!?複雑に絡まった糸を、大胆にロジカルに解きほぐす本格推理。
    ********************

    今回は火村先生がなんか普通だ。と、ちょっと初めのうちは読んでました。
    が、エンジンがかかり始めた辺りからなんかちょっとずつおかしくなっていきます。エンジンかかった途端おかしくなる探偵なんかかっこ悪すぎだろ、とか思いつつ、火村先生だから許せる、とかも若干思う。
    「行ってくる。『海のある奈良』へ」
    そう行って旅に出た赤星楽が、小浜で遺体になって発見された。調査のためアリスと火村はあっちへ行ったりこっちへ行ったり。火村先生のベンツに乗って小浜へも行くし、新幹線に乗って京都へも行くし。とりあえず火村のステアリング捌きはかっこいいし新幹線の旅は楽しそうで私もしたいよ、って話。
    「おごりだよな、新刊の印税がどばーっと入ってくるんだし、今夜はうちをホテル代わりにするんだから」
    『火村英生はにこにこ笑っていた。三十半ばにさしかかった男が何が「おごりだよな」だ。「印税がどばーっ」だ。』
    き、気持ち悪い・・・。笑
    「ははぁん、それ以外にも天体観測、登山、ボトルシップ作りと猫の調教、変態性欲の権威だ、ということになってませんか?そのプロフィールは無茶苦茶ですよ。それぞれに根拠があるにはあるんですが、それは例えば、高校時代にボクシング部に所属していたとか、多感な少年時代に朝まで星を観ていた一夜があるとか、猫を二匹飼っている、というささやかなエピソードから捏造されたものにすぎません。変態性欲の根拠だけは――秘密です」
    秘密って…何だ・・・。
    変態性欲って、一回目出てきたときは軽くつっこんで終わったけど、そう何回も出てくると気になるでしょ。変態性欲かそうかそういうひとなのかってほんとに納得しちゃっていいわけか?というかそれをアリスも火村も認めてる時点であれだ、自他共に認めるってやつだよ・・・。
    それにしても火村先生をいたく気に入ったらしい朝井女史にアリスがひと言。
    「女嫌いが珠に瑕ですけどね」
    いや、アリス、そんな釘刺さんでも。
    「やめてくれ。推理作家がうつる」
    小学生か火村英生。
    『何故、犯罪者をほうっておかないのだ?
    人を憎んで罪を憎まず、などと言って嗤うのだ?
    やがてこの国でも死刑は廃されるだろう、という私の良識ある見解を冷笑するのだ?』
    『私の眠りを裂いた悲鳴がやむと、火村ががばっと起き上がる音がした。荒い呼吸を抑えようと努めながら、私が目を覚ましたのかどうか『気配を窺っている気配』がする。死人も目覚めるような悲鳴がしても平気で眠りを貪り続ける世にも鈍感な男、を私は演じた。』
    ちょっとずつ姿を見せる火村の心の闇。でも、姿を見せるといっても謎が解けていってはないです。少しも。
    ふたりは長い付き合いですごく仲もいいのに、それでもそこには踏み込めないでいるアリスに切なさを覚えます。
    いつか火村が胸の内を明かす日が来たらいいな、と思います。
    読者として、っていうのもあるけど、なんかアリスが可哀想すぎるし。
    火村は自分を『犯罪だけが友の孤独な』人間だとか言うし、アリスにとって火村は『私の最も近しい友』なんだから。
    しかし、そんなことがあっても。
    『翌朝、目を覚ますと、夜中に悲鳴をあげた友人は鼻歌まじりに歯を磨いていた。』
    まあ、火村先生にはもう日常てきなことなのかもね。そう珍しいことじゃないのかも。
    ところで。女ならふたりで旅行行ったら部屋って絶対ツインにすると思うけど、普段このふたりはシングルふたつにしてるみたいですね。今回は別として。
    それってやっぱり火村の悪夢のせいなのかな。アリスはそれを学生の頃から知ってるわけだし、不審にも思わないだろうし。
    それとも三十男ともなるとそんなもんなのか?うーんわからん・・・。
    ま、それはともかく。
    レンタルビデオ屋にて、目当てのビデオがないと知ったときの馴れ馴れしい例のオヤジ、臨床犯罪学者火村英生34歳の行動。
    「これ、貸し出し中だよね。いつ借りられてて、いつ返ってくるの?」
    よせや・・・。
    どうしてもここのこのビデオじゃないと、と言い張るにしても他に行動の起こし方あるだろうというような立ち居振る舞いで火村英生はサブリミナル効果を看破します。
    しかしやっぱりこのひと口が上手いって言うか話しかたが上手いって言うか。『スイス時計の謎』の『あるYの悲劇』のときみたいにね。
    しかしその後、霧野となかなか連絡が取れなくなった辺りから、結末は読めてきてました。すごくすごくいやだけど、結末はきっとこうなるんだろうなあ・・・と。はあ。
    今回の作品では片桐さんが活躍してましたね。森下さんに代わってのハリキリボーイでした。
    赤星楽も、このまま普通に出てたら好きになれてたかもしれないのに。残念。
    しかし弘前泉の乗り移った火村は気持ち悪かったなあ・・・。何が「いいですか?」だ。
    弘前泉って何歳ぐらいの設定なのか知らないけれど、かなり歳いったイメージが浮かんじゃうよ。名前から。
    そして私の中では『』の御前教授と見事にかぶってるっていう。
    それにしても助手が可愛らしいオンナノコじゃあ、きっと私は読まなかっただろうな。私もある意味で女嫌いなところあるので…。
    まあそんなこんなで今回もまた重箱論争でございました。
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    2008.02.02 Saturday 21:40

    ダリの繭


    有栖川有栖
    ********************
    内容(「BOOK」データベースより)
    幻想を愛し、奇行で知られたシュール、リアリズムの巨人―サルバドール・ダリ。宝飾デザインも手掛けた、この天才の心酔者で知られる宝石チェーン社長が神戸の別邸で殺された。現代の繭とも言うべきフロートカプセルの中で発見されたその死体は、彼のトレードマークであったダリ髭がない。そして他にも多くの不可解な点が…。事件解決に立ち上った推理作家・有栖川有栖と犯罪社会学者・火村英生が難解なダイイングメッセージに挑む。ミステリー界の旗手が綴る究極のパズラー。
    ********************

    読みながらずっと、「気持ち悪い」「気色悪い」などなどを連発しておりました。
    何に対してって、……火村に。
    火村編第二弾ということか火村たちはあっさり警察の仲間に入れてもらえたりとかしてます。
    今回も前回以上につっこみどころ満載でしたがなんせ読み始めてから読み終えるまでに異様な時間がかかった上、間空白まで存在してしまったわけであんまり覚えてない点も。
    けれどはっきり言えるのは、今回の火村はとってもオヤジくさい。ということ。
    そしてまたもや時系列的には合ってるんですが、46では付き合い始めみたくべったり、国名シリーズでは物理的な距離があっても平気そうな長年連れ添った夫婦みたい、とかふざけた例えをしてみたけれど、その中間の今回、このふたりは新婚夫婦です。文字通り。
    「締切りが迫ってる短編があるんで、京都まで行くのはちょっと・・・・・・」
    「よし、じゃあ、俺がそっちのマンションに行こう。お前の仕事が終わるまで横でおとなしく待ってる。読み残しの『ゴルゴ13』でも読みながら」
    「残酷な仕打ちはやめてくれ。――とにかく、きてくれるんやな?」
    「これからもうひとコマ講義があるから、そっちに行くのは八時ぐらいになるかもしれない。それまで待っててくれるんなら、一緒に晩飯を食いに行こう。――いいか?」
    とかゆう仲の良いところから始まります。
    きて“くれる”って・・・何やねんアリス。
    いや、ほんとの始まりはふたりで一緒におフランスですがね。
    『体を斜めにして座っていた火村は、椅子の背に片足を掛けてさらにだらしない恰好になった。』
    『椅子の背に掛けた右足をぶらぶらさせながら、火村は頷いた。』
    って、一体どんな姿勢?誰かやって見せてほしいんだけど。
    『翌朝、八時過ぎに火村に起こされた。瞼をこすりながらダイニングに出てみると、何と、トーストとスクランブル・エッグの朝食の支度ができており、コーヒーの香りが漂っている。それを見て、瞬時に目が覚めた。
    「ああ、眠気がふっ飛んだ。まるで新婚家庭の朝の食卓やな」
    「俺もそう思う。テーブルに皿を並べながら新妻になったような気がした」
    火村はまだ剃っていない髭をぼりぼり掻きながら言った。』
    何言ってんの?って、ちょっと読み返しましたけども。
    親父くさいよー火村。親父くさい新妻とかものそい嫌。
    でもアリスに対する気遣いはちゃんとしてて良いですね。
    そしてそれからアリスの青い鳥を運転する火村の横顔を見つめるアリス。
    『「俺の顔に何かついてるか?」
    前を向いたまま彼に言われ、私は「いいや」と答えて前方を向き直る。
    「あんまり見つめるなよ。新婚ごっこはもう終わりだぜ」
    私は溜め息をついて、心をこめてひと言ぶつけた。
    「アホ!」』
    ってだからあんたたち新婚ごっこはよせよ。
    『火村は女性に対して垣根を張り巡らせている節がある。講義を終えた後、教壇に向かってファンの女学生が飛ばす「先生、さようならー」という声には手を振るくせに――それはサービスなのだそうだ――、コンパで酔ってもたれかかってきた女の子は邪険に押し返すらしい。そもそも、日常の生活で、彼から女性に話しかけるということすら稀だった。』
    出た出た火村の女嫌い。というか私も手振ってほしいよ。
    『私から提案した。欠伸をしながらも火村が同意したので、・・・(略)』
    なんか・・・今回の火村ほんとになんかだらしない。
    「ナルシストのおにいちゃん、おねえちゃんがいっぱいだ」
    これ火村の台詞ですか?
    しかし直後。
    『火村はオーケーと言うように片手を上げた。
    「では、淀屋橋まで行きましょう。もちろん、あなたがグラスを空けてから」』
    あれ、すごく気障・・・すごくかっこよく戻ってる・・・。
    今更気付いたけど、火村がだらしなくなるのはアリスとふたりのときだけなんですね。ふたりっきりっていうわけじゃないけど、周りに、じゃなくて間に誰もいない状態になると途端に親父になる気がする。
    いやいつでもどこでもだらしなかったらすごく嫌だしそもそも既にそれは火村じゃあない。
    「いい子だ、自分で気がついて」
    い い 子 だ ・・・ 。
    どんな扱いだアリス。君はそれでいいのか。
    『明け方。
    「あの髭が、判んねぇよな」
    そんな火村の寝言を聞いた。』
    寝言・・・臨床犯罪学者が変な寝言言ってます・・・アリスにしっかり聞かれてます・・・。
    『「もう君の出番はなくなったのか?」
    店先で意地悪く尋ねると、彼は「はっ!」と笑った。』
    怖いわ。
    『「へへ、こりゃ妖しいな」
    火村はにやにや笑いながらノックした。』
    アヤしいのはお前だ火村。
    ラピス・ラズリ・ノワールの台詞。
    「半信半疑でいらしたか。何にしろ、男二人が肩を寄せ合ってここにいるということは、
    外の世界の懊悩を抱え込んでのことだろう。さぁ、何なりと尋ねて私を試すがいい」
    ホモだと思われてるよおふたりさん。違うなら違うって否定しようぜ。
    『「俺はこのフィールドワークを始める前、徹夜に近いことして論文を書いたんだって言ってるだろ。有栖川先生みたいに譫言をワープロで打ちゃあいいって仕事じゃないんだから」
    「人の作品に向かって譫言とは何や」と言うと、彼はあっさり「すまん、悪かった」と託びた。
    「おい、マジで謝るなよ。冗談やっていうぐらい判ってる」
    「いや、本気で言ったから謝ったんだ」
    私はわざわざ腰を浮かして尻の下のクッションを取り、彼にぶつけた。ぶつけてから、新婚ごっこもどきをしてる場合ではない、とわれに返る。』
    まだ続いてたよ新婚ごっこ・・・。いつまでやってんの?ずっとやってんの?もう結婚しちゃえよ。
    『私たちは理解理解と繰り返した。彼と私は時々このように、口に出して『自分が他者を理解している』を確認し合う。とても共感などできない主義、思想、趣味でも、理解は可能でありたい、という共通の認識からくる二人ひと組の口癖だ。』
    理解って、いいですよね。
    同意するとか、反対するとか、そんなのは差し置いて、ただとりあえずそういうのもひとつの意見だと、その存在を認めることが理解なんですね。
    そんな広いキャパを持てる人間になりたいものです。
    「罪も罰も文化という馬に乗ってどこへでも走る。ヘイホー。北でも南でも。西でも東でも。ただな、自分が乗っている馬が暴走しだしたと判ったら、俺は乗って走りながらその馬を蹴り殺してやりたい、とも思ってるんだぜ」
    ヘイホー。
    何が!?
    そしてそして『スイス時計の謎』でも触れていた、アリスの過去。
    とてもとても切ない、でもそれがなかったら今のアリスはなかったに違いないアリスの過去。
    しかし恋心が本格推理小説に化けるとは・・・なあ。
    だったら火村先生とたっぷり新婚ごっこして、たっぷり力を蓄えて下さい。
    そしてとりあえず火村先生はハムサンドが好き、と・・・。
    『火村は京都に帰っていき、私は夕陽丘の自宅に戻ってきた。
    五日ぶりに一人の夜になった。』
    ああ、ふたりってそんなにずっと一緒にいたわけか。
    やっばいなまた本質には触れないで重箱の隅突っつくようなマネしかしてねえな。
    しかも途中からすごいすっ飛ばしよう。どうなんだ。
    しかし今回も面白かったですよ有栖川先生、と。それだけは言える。
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    2008.01.26 Saturday 20:22

    46番目の密室


    有栖川有栖
    ********************
    内容(「BOOK」データベースより)
    45の密室トリックを発表した推理小説の大家、真壁聖一が殺された。密室と化した地下の書庫の暖炉に上半身を突っ込むという悲惨な姿であった。彼は自分の考えた46番目の密室トリックで殺されたのか。推理作家・有栖川有栖とその友人で犯罪学者・火村英生のコンビが怪事件の謎に迫る。
    ********************

    火村&アリスシリーズ第一弾。なんかキャラが定まってない感というか、国名シリーズとではなんかキャラが違って見えます。特に火村。
    そしてなんだか…火村とアリスの距離が近い。仲が良い。
    嫌な感じで例えると、46では付き合い始めのカップルみたいにとりあえずとにかく仲良くて、国名シリーズでは夫婦みたいな落ち着いた関係になってます。時系列的には合ってるけど。
    「それは悪かった。謝るよ。――けど惜しいことをしたな。君の人となりの紹介はこれから先が本論だったんやぞ。火村英生は一見紳士風ではなく、性格は屈折している。友人は俺ぐらいしかいない。しかしその才能はというと犯罪学者という枠には収まりきらない逸材であり、法律学、法医学から心理学まで造詣が深く、語学も堪能、文学、音楽、美術、映画、歴史、天体観測、オカルティズム、ケルト神話、変態性欲、ボクシング、登山、ボトルシップ作り、猫の飼い方に一家言を持つというところまでしゃべるつもりやったのに」
    ええっと、長かったですがとにもかくにも何が言いたかったのかというと、『変態性欲』ですね。どっから出てきたんだこの単語は。
    というかオカルティズムとケルト神話については是非私もご講義願いたいですね。あと法医学も。
    「ちぇっ、そんな犬死には嫌だな」
    ってあんた、ちぇっとか言うのかよ火村先生。笑える。
    「デリケートにできてるんやな」
    「ああ。デリケート過ぎて生きにくいぐらいだな」
    そんなわけあるか!ひとり話もよう聞かんとメロンしゃくしゃく食うてた奴の言うことと違うわ。
    そして第一弾だからか長編だからか、人物についての説明がちょっと丁寧。火村とアリスの出会いのシーンが書かれていますよ。
    しかし出会いの五月七日という日をしっかり覚えてる辺りがいじらしいよねアリス。
    何があぶそるーとりーや!かっこええがな!
    『かけてくれた言葉は「やったな」のひと言だけだったが、それが心からの祝福だと私ははっきり感じた。だから私も彼の言葉にだけは心から「ありがとう」と礼を言った。』
    仲良いなあ。
    というか白いクマのぬいぐるみの背中をざくざく開けてる火村がかっこよかったですね。
    正確には「貸せ」とか言ってアリスの手からぬいぐるみひったくるあたりだけど。
    「――男女の気持ちの機微に精通した俺のこの見方、どうだ?」
    男女の気持ちの機微に精通してたら三十二で独身なわけが…あるか…。笑
    でも殴られたアリスの心配はちゃんとしてます。大丈夫、と言ったら、ならいい。と。
    「アリスと一緒でもかまいませんか?」
    「有栖川さんはあなたの保護者なんですか?」
    ってなんだこれはっていうかちゃんと否定をしろよ火村。保護者ではないだろう。
    「セロテープ、セロテープ」
    って、歌ってる場合か火村さん。なんでこうこの本つっこみどころ多いんだろう。
    『「ああ、判ってる。声を揃えて言おうか?」
    私たちはそうした。』
    するんか。三十路男が二人でなにやってるんだ。
    しかも一回じゃなかった。
    お次はアリスが屋根から落ちかけたシーン。
    『「おい、危ないことやってるじゃないか。大丈夫か?」
    破風に跨ってひと息つく私の傍らにやってくると、火村は呆れ顔で言った。
    「大丈夫。俺は日本のブルース・ウィリスやから」
    「やってらんねぇよ」
    彼は雪をひとすくいして、私の頭から掛けた。
    「びっくりさせて悪かった」
    「反省のポーズだけなら猿でもするぜ」
    彼はさらに口の悪いことを言ったが、よほど驚いたらしく、胸に手を置いて呼吸を整えていた。許せ。』
    ちゃんと心配してるじゃん。
    そのあと。「お前はじっとしてろ」とか言ってアリスを労わってんだか何なんだか。アリスはアリスでいい子にしてようとかしてるしね。
    「アリス、どこへ行ってたんだ?」
    そ、束縛…。
    『「話したいことがある」
    他人のもののような声で私は言った。
    「いいタイミングできたようだな」
    彼は凍った池の方を向き、私の目を見ようとはしなかった。
    「お前はいつもそうや」
    「そうでもない。お前が伸びている時にはぐうぐう眠ってたじゃないか」』
    …根に持ってるの、先生。
    「――アリス。お前は小説を書いてろ。間違っても消防士にはなるな」
    何なんだかね。
    なんだかよくわからんけどいやに仲いいよね。
    アリスは、何か起こればああ火村に言わな!みたいなんなるし。
    火村は火村でアリスアリスって。
    何なんだこの仲良し具合。何なんだ。
    そんな本でした。
    …まずい、本質には全然触れてないぞ。
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    2008.01.17 Thursday 18:30

    スイス時計の謎


    有栖川有栖
    ********************
    内容(「BOOK」データベースより)
    二年に一度開かれていた“同窓会”の当日、メンバーの一人が殺され、被害者のはめていた腕時計が消失!いったいなぜか…。火村の示した間然するところのない推理に「犯人」が最後に明かした「動機」とは。表題作ほか謎解きの醍醐味が堪能できる超絶の全4篇。ご存じ国名シリーズ第7弾。
    ********************

    またもや短編。
    良いですね、短編。

    『あるYの悲劇』
    見てみたいですねえ、マリファナTシャツ姿の森下さん。
    「(略)・・・はて、どこでお会いしたんでしょうか?」
    「それを度忘れしてしまって・・・・・・。『やまもと』さんですよね?」
    「あ、はい、そうです」
    鮮やか・・・。

    『女彫刻家の首』
    犬神事件発生です。事件ですよ、火村先生!
    というかデジカメなんか持ってる火村先生に妙にうける。
    それにしても水城は嫌いだ。とりあえず嫌いだ。
    『「冷血な計画殺人やったわけやな。犯人の二人は、事故で命を落とした。これは、天の裁きということかもしれんな」
    私のそんな月並みの述懐を、無神論者の火村は苛立たしげに打ち砕く。
    「天の裁きだって?神の御手のなせる業か。勝手なことしてくれるじゃねぇか。裁いていいと、誰がてめぇに言ったんだ」』
    というシーンにちょっと泣きそうになった。
    一馬、真奈が死んで一番悔しかったのは、火村なんだろうな。
    そして、その悔しさを噛み締めている火村の傍にいてあげられないアリスも悔しいんじゃないかな。

    『シャイロックの密室』
    絵が傾いてる、っていうポイントはちょっと面白かったかな、と。
    しっかし殺人現場から持ち帰ったもの、普通食うか?

    『スイス時計の謎』
    エリート集団のメンバーのひとりが殺される。そしてそのエリート集団とアリスは高校時代の同窓生だった!という話。
    美少女アリスちゃんはみんなに覚えててもらってます。
    しかしあの・・・ラブレターの話は。いや、ラヴレターか。
    そりゃあ、ショックだよな。だからアリスはまだ独身なんだよな、きっとそうだ。
    279頁より↓
    『美少女云々のところで火村の右肩がぴくりと動いたが、聞き流してくれた。』
    ってコレ、あとで突っ込むのかなあと思ってたけど、それきり放置だったな。
    見たかったな、火村に茶化されるアリス。
    ラスト近く、解決編の筈なのになんか難しげな雰囲気で、結構飛ばし読みしてた。
    誰がどうして犯人なのか、というあたりはもう一回読まないとよくわからなさそう。
    なんで、もっかい読もうかな。
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    2008.01.16 Wednesday 14:04

    マレー鉄道の謎


    有栖川有栖
    ********************
    内容(「BOOK」データベースより)
    旧友・大龍の招きでマレーの楽園、キャメロン・ハイランドを訪れた火村と有栖川。二人を迎えたのは、舞い飛ぶ蝶ならぬ「殺人の連鎖」だった。ドアや窓に内側から目張りをされた密室での犯行の嫌疑は大龍に。帰国までの数日で、火村は友人を救えるか。第56回日本推理作家協会賞に輝く、国名シリーズ第6弾。
    ********************

    長編です。ちょっと苦手な有栖川有栖長編ミステリ。しっかし分厚い本やな…。
    34歳独身男のふたり旅。ううん楽しそうだね。
    というか火村かっこよすぎ!!
    筆記体でさらさらサインしてまうし、4ヶ国語ぺらっぺら喋っちゃうし。
    同じ日本人であるアリスにも聞き取れないような英語を喋る火村に本気で惚れる。
    アリスは英語が出来ないみたいに言うけど、絶対出来る部類に入ると思う。引き合いに私を出すのもおかしいけど、私は聞く一方ならなんとかなっても、喋るのは一切駄目だし。
    しっかし旅の間コワいぐらい無言の火村だけど、アリスをいじるのに関しては急に饒舌になるあたりがちょう面白いです。
    というか外国人から、アリスがそのままアリスと呼ばれるのはいいとしても、火村がヒデって・・・えらいくだけたな。
    『「ある日、それまで見慣れていた横顔を見て、あら、と思っただけです。向こうも同じようなものでしょう」
    ある日、見慣れていた横顔を見て、あら、か。いいな。』
    …いいな。
    いいなって思っちゃうアリスにも、いいな、とか思った。
    にしても、長編ということでページ的に余裕があるからか、アリスのとんちんかんな推理も山のように出てきますな。
    前からどんどん募ってきてた疑問だけれど。
    火村はほとんどいつもアリスをフィールドワークに連れていくけど、アリスはなんかの役に立ってんの?かな?
    いや役に立ってるとは思うけど。たまに。まるっきり役立たずってことはないとはわかってる。
    けど、刑事さんたちが火村を呼ぶのと一緒にアリスも呼ぶのはわかるけど、火村がアリスに来いって言って呼びつける理由は・・・あるのかな?
    火村とアリスはセットだからこそ私は好きだしそうじゃないと嫌だけど、でもそんなちょっとした疑問は浮かぶ。
    まさか・・・愛玩用!?
    いやーそれにしてもやっぱ長編だと短編とは違う趣がある。
    さっきも言ったけどページに余裕があるから各キャラクターに深さを与えることが出来るように思う。
    だからいつにも増してアリスは可愛いしぼけてるし、火村はかっこいいしヘビースモーカーだしってかチェーンスモーカーだし。この長いようで短い旅行で、一体何箱空けたんですかね。
    というかキャメル⇒ボックスみたいなイメージがいとも簡単に打ち破られた。ソフトやったんか。
    ぎらぎらと眼光鋭く狼と化す火村や、寝惚けてふにゃふにゃしてるアリスとか、いろんなふたりに出会える本でした。
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