乙一
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内容(「BOOK」データベースより)
「わたしは腕に犬を飼っている―」ちょっとした気まぐれから、謎の中国人彫師に彫ってもらった犬の刺青。「ポッキー」と名づけたその刺青がある日突然、動き出し…。肌に棲む犬と少女の不思議な共同生活を描く表題作ほか、その目を見た者を、石に変えてしまうという魔物の伝承を巡る怪異譚「石ノ目」など、天才・乙一のファンタジー・ホラー四編を収録する傑作短編集。
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不思議な短編集。
『はじめ』は、主人公とその友達が想像で作り出したはじめが、いつのまにか想像上の人物以上になってくる、という話。
幼いときはなにも考えないではじめの存在を受け入れられたかもしれないけど、大きくなるにつれて、はじめは想像の産物なんだ、って考えるのが先に立つようになってしまって。
ある意味切ない友情というか、恋というか。設定は変なのに(笑)、じんわりできるお話です。
『BLUE』が私は一番好きです。
テッドのために頑張るブルーが健気で一途で。
いいと思うやつに限って上手く言えないなあ。
『平面いぬ。』もその次に好きです。
主人公の女の子の刺青の犬が肌の上で生きてる話です。
父も母も弟も癌で、それぞれが自分以外のふたりが癌だってことだけは知ってる。でも主人公はみんなが癌だって知ってる。そんな奇妙な生活が暫く続く。
けどある日みんなが自分が癌だってことを知って、有意義な生活を送ろうって決める。
そして結局主人公を残して、みんな半年後に死んでしまう。
それだけでも結構すごい話なんですけど、刺青の犬を加えることであんなふうにおもしろい話になるんだなぁって思うと、乙一はやっぱりすごいと思うし大好きです。