東野圭吾
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内容(「BOOK」データベースより)
完全密室、時刻表トリック、バラバラ死体に童謡殺人。フーダニットからハウダニットまで、12の難事件に挑む名探偵・天下一大五郎。すべてのトリックを鮮やかに解き明かした名探偵が辿り着いた、恐るべき「ミステリ界の謎」とは?本格推理の様々な“お約束”を破った、業界騒然・話題満載の痛快傑作ミステリ。
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推理小説とは何たるか、名探偵とは何たるかを説く小説。
面白いのは、それを登場人物が語ること。しかも、切実に。
頭脳明晰、博学多才、行動力抜群、個性的で魅力的(自称)な名探偵(という設定)天下一大五郎。因みに密室が泣くほど大嫌い。
本当はいち早く真相を見抜くが、駄目警部でなければならない大河原番三。
密室、フーダニット、孤立した屋敷、ダイイングメッセージ、アリバイ工作、2時間サスペンス、バラバラ殺人、1人2役、見立て殺人、文章トリック、首なし死体、凶器。
全部ほとんど王道で、この手の殺人は…と誰が説明しても一致するようなことしか言いません。
話の展開上必要な推理やトリックは考えてあるけど、省けるとこは出来るだけ省いてあります。
そして話は終盤まで差し掛かって…って具合で話が飛んでっいったりするし、犯人はあなただ!ってやった後、もしくは前の推理ショーをはぶいちゃったりするし、でも別にテキトウってわけでもないし。
ベースっていうか、土台っていうか、ってどっちも一緒だけど、横溝正史っぽいな、と思ってたら実際名目を挙げてたからそうらしい。
本格派ミステリ、特にシリーズものとは…を描いてる本でもあり、最近乱立する本格派ミステリもどき、本格派ミステリ書くだけの実力ないけど書きたいからって余計な要素入れまくって、結局トリックや読者が予想だにしなかった意外な展開を無理に挿入してびっくりさせることしか考えない作家をある意味一蹴してる。と私は勝手に、ほんとに勝手に思う。
自分がそうじゃんほんのり本格派ミステリ風味作家東野圭吾と言いたいところですが、ぐっとこらえましょう。
天下一大五郎も言ってた通り、探偵、シリーズキャラクターが犯人、ついでに第十章 アンフェアの見本、みたいなのは本格派としてはどうなんだろ。
トリックで魅せることはできないのか?
文章の中にある意外性でしか読者をあっと言わせることが出来ないのか?
というわけで、天下一が嫌がってるのと同じで私も好きじゃない。
ついでに、これまた勝手に、東野圭吾は清純派ミステリ志向の人だなあとか。
横溝正史とかを見本にだしてきたり、どこかで見たことあるような、感じたことあるようなミステリ感だったり、うまく言えないけどそういうこととかで思いました。
読んでいる途中から、トリックは違えど話の展開が似ているし、ひとつひとつの話に深みがないから結局どの話も一緒に見えたりするのでちょっと飽きてきたけど、そこまで分厚い本じゃないから苦痛になる前に読み切れた。
本格派ミステリ好きとか、こういう雰囲気でも許せるひとには面白いんではないかな。